世界経済の中心であるアメリカ。
2008年はさまざまな意味でアメリカの存在感を一段と示す結果となった。
未曽有の金融危機の震源地であるものの、その底知れぬキャパシティで自国経済復活、世界経済復活を目指すアメリカ。
そのアメリカの動向を追う。

多様な文化と自由が原動力

移民と多様性の国家、アメリカ合衆国(以後「米国」)。
アメリカ大陸に絶えず流入してくる人々は故国を離れ大きな夢の実現を求めて入国、米国経済の大きな原動力となっている。
米国民は独立心と楽観主義として知られており、自ら進んでリスクを引き受け、新しいことにチャレンジする文化がある。

 

自身がアイルランド系移民の孫であったジョン・F・ケネディ元大統領は、米国を次のように称している。
「対等な地歩から人生を再出発した移民の社会。
古い伝統の記憶がまだ失せぬうちに、未開の分野を切り拓こうとする人々の国、これが米国の秘訣である」。
2009年の今、その力が試されている。

米国経済激動の2008年

2009年1月、米国は第44代大統領、バラク・オバマ氏による新政権が誕生した。
世界経済は「100年に一度」の未曽有の経済危機の真っただ中にある。
世界のリーダーとして重要な役割を持つ米国大統領として、オバマ氏は就任演説において、「米国経済は大胆で迅速な行動を求めており、新たに雇用を創出するだけではなく、成長へ向けた新たな基盤を構築しなければならない」と語っている。

 

米国にとっても、世界各国にとっても2008年は激動の年となった。
特に米国は震源地として、ベアスターンズ実質破綻、リーマンブラザーズ破綻、ワシントン・ミューチュアル破綻など経済全体に大打撃を被ることになった。

 

ブッシュ政権下でポールソン前財務長官は「市場が驚くほど大きな金額の財政出動でなければならない」とし、2008年10月、まず米国政府は金融不安の鎮静化を計るため、金融安定化法(PL110-343)に基づく7,000億ドルの不良資産救済プログラム(TARP:Troubled Assets Relief Program)を難産の末、成立させた。
この措置により、ワシントン・ミューチュアルやワコビアなどの破綻が金融システムに与える悪影響を最小限に留め、GM(ゼネラルモータース)やクライスラー、超大型金融機関であるシティグループやAIG(米国大手保険会社)の破綻を防ぐ結果となった。
当初、TARPは不良資産の買収、住宅ローン関連証券を買い取り、住宅ローンの条件を緩和することにより住宅市場の悪化を食い止めることを目的としていた。
しかし、住宅ローン関連証券の買い取りを開始する前に、次々と大きな金融危機が到来し、やむなく金融機関などへの公的資金注入に資金を費やしてしまった。
そして100日も経たないうちに3,500億ドルを使い切ったため、翌年1月には残りのTARP資金3,500億ドルの使用について議会に承認を求めざるを得ない結果となった。

 

これは危機に直面する住宅所有者の救済や、金融システムの安定化、より多くの消費者や企業が融資を受けるための信用市場の活性化などにおいて、有効な対策を講じることはこのままでは不可能に近いとの認識を示していたものと考えられる。